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1998年度の真夏の宴会(ナポリ楽団にホテル常連オヤジ達)
私の大好きな映画監督の一人にビリー・ワイルダーがいます。超大作を作るのではなく、日常生活に起きそうな物語を面白おかしく、彼のユーモアたっぷりに繰り広げられる世界は私の大のお気に入りです。『サブリナ』や『あなただけ今晩は』は私の好きな映画ベスト10に入ります。
そんな彼の後期の作品に『Avanti!アヴァンティ』という物があります。70年代の作品で、舞台はイタリア、しかもナポリ、しかもイスキア島でした。この映画を観て、イスキア島の存在を始めて知りました。
始めて観たのは、まだまだ私が日本にいる頃で、イタリアが好きになっていた頃です。映画のストーリーはここでは省きますが(とっても面白い作品ですので機会があったらご覧になってくださいね(^o^))、温泉の出るリゾート、保養地としても有名なイスキア島のゴージャスなホテルを舞台にした映画で、ホテルのお客さん達は10年も20年も同じイスキアの同じホテルにヴァカンス&保養に来る…という設定。ホテル従業員達とも家族のように仲良くなっている。「こういう世界がイタリアにはあるのかしら?」と羨ましく思って観ていた私だったのです。
そして、私自身がイタリアで生活するようになって、3年は夏のヴァカンスを海外で過ごしました。イギリス、フランス、スペイン…と回りましたが、8月はどこもかしこも人でいっぱい!しかもお安く飛行機チャーター便で行くとなると、往復共3時間以上空港で待ちぼうけ〜という事があったので、「8月はお手軽に近場で過ごそう!時期はずれに海外に行こう!」と決め、ナポリ周辺のリゾートをチェックするようになりました。
ナポリ近郊には沢山のリゾート地があるのですが、私の大好きなカプリ島やポジターノなどは8月は世界各国からのヴァカンス客が押し寄せ、どこに行っても混雑混雑…になってしまう。その点、イスキア島というのは、他の有名リゾートと違って派手な印象はないけれど、島自体が広く、まだまだ自然も多く残っており、混雑していてもそれほど気にならないので、ここに行く事に決めました。
始めてのイスキアでのヴァカンスは、島内ですが、道路がないので小さな港から船で行くホテルでした。とっても良かったのですが、ホテルからの行程が船しかない不便さを感じ、6歳以下の子供を受け入れないホテル側の不親切さも感じ、私と主人はその年にいろんなホテルを下見して、翌年のイスキアヴァカンスには、ここなら快適に過ごせるだろうと思ったホテルの中から『Villa
Teresaヴィッラテレーザ』という所に予約を入れました。
「いらっしゃい!ようこそ!」と言う女主人の明るい笑顔に迎えられ、始まった2年目のイスキアヴァカンスは、映画『アヴァンティ』の世界でした。映画では5つ星ゴージャスホテルで、私達のホテルは3つ星標準ホテルの違いはあるにしても(笑)、雰囲気は映画で観たそのものでした。ドイツ人や他のイタリアの町からの団体や単発ヴァカンス客達に混じって、1/3強はもう何十年も来ているという常連客達。ホテル経営の家族も従業員も常連客達も皆仲良く、本当に家族的。皆が「いや〜!元気だった?相変わらずだねー!」などとお喋りしている姿を見て、私は「ああ、やっぱりイタリアにはこういう雰囲気があったのだな」としみじみ思いました。
そして8月15日。イタリアでは、夏の真ん中という事でこの日は祝日になっています。ヴァカンス真っ盛りのこの祝日に、各ホテルは色々なイベントを計画するのですが、たいていは特別ディナー。『ヴィッラテレーザ』もそうかな?と思いきや、夜ではなくランチ時にイベントがあるとか…。「そんなぁ〜!昼は海でシュノーケルしたいのに、どうしてイベントを昼に?!」と思った私ですが、渋々参加してみると…この上もない程の楽しい正餐が待っていたのです。
先ずは1時半からのカクテルタイム。軽いアルコールのトロピカルドリンクとおつまみのサービスがあり、2時に滞在客達はレストランに入る…。待ち受けていたのは、ウエイター軍団が総勢アロハシャツ&半パンツで髪には花を差し、ドリンク注文を受ける女の子達はフラダンスの衣装で登場。テーブルに置かれたメニュー表を見ると、結婚式の披露宴のように10皿以上のメニューが!
「えらいこっちゃ!」と思いつつも前菜を食べ始めてみると、入り口からマンダリン、ギターなどの楽器に合わせて歌うナポリカンツォーネが聴こえてきた…と振り向くと、ナポリ民族衣装を着た楽団が入って来たではありませんか!従業員や常連客達の拍手で迎え入れられた楽団は、各テーブルを回ってナポリカンツォーネを奏でていく…。しかも!常連客のテーブルになると、お客さん達も歌い出し、大盛り上がり大会に!!
楽団の人達もうまいけれど、お客さん達も歌がサイコーに上手いし、勝手に歌詞を変えたりして笑わせる!私は自分の席を立ち、盛り上がる常連客のテーブルに近寄り、大勢集まっている輪に入って拍手でリズムを取り、歓声をあげ、爆笑していました(笑)。そうしていると、歌は歌えないが踊りは得意な常連のおじさんが皆を集めて踊りを開始し、私にも「踊れ!」と言ってきました。皆が踊るのはナポリダンスの『タランテッラ』という物で、私は見た事も踊った事もなかったのですが、適当に真似をして、ダンスしまくり!!
歌と踊りと大量の美食の『真夏の正餐』を堪能してそろそろデザートの時間となると、巨大なケーキが登場して、今はもう現場から引退している初代オーナーのテレーザお婆ちゃんを皆で囲み、お婆ちゃんが「みなさん!真夏の祝日、おめでとう!お客様に幸あれ!そして私の家族とホテルの従業員達にも幸あれ!世界の皆にアウグーリ!!」とお祝いの言葉を大声で述べ、それを受けた皆が「おおおおおおーーーーーー!!!」と歓声をあげ、また歌が始まり、シャンペンをぼんぼん開けて、正餐はお開き…になったのです。
終わったのは夕方7時…。つまり5時間も続いたランチだったのですが、海に行けなかった悔しさはすっかり吹き飛び、大満足の笑顔で夜を迎えた私でした。
このヴィッラテレーザ滞在の初年度に、私の主人の仕事の関係で、他のホテルからのイベント招待も受けていて、お昼に気が狂う程に食べたのに、4つ星のゴージャスホテルディナーも行きました。バイキング形式ですが確かに『特別ディナー』と言う程の内容がある。一品一品、最高の食材を使っていてとっても美味しかったのですが、ただそれだけ…。他のテーブルの人達とお喋りをする人もいなく、もちろん楽団など来ない。深夜にプールサイドでライブがありましたが、それも盛り上がる程ではない…。
他のホテルの事情を聞いても、同じような状況。家庭的なホテルでも、夜にちょっといい食事を用意して、数年前のヒット曲などを演奏するようなバンドを呼んでの深夜のライブがあるだけで、それで終わり…の様子。私達が過ごしたヴィッラテレーザが、こんなにフレンドリーで楽しいイベントをやると解って、私は「夏のヴァカンスは毎年ここで過ごそう」と決めたのでした(笑)。
では次回は、それ以後のお話を続けますね!
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