盲腸の手術の時、最初の切り込みに激しい痛みを感じた私は「もしや今回も?」と心配だったけれど、先生は「いくわよ!」の一言もなく、勝手に切開を始めていた(^.^;。感覚は全くないから安心したけど……視覚で感じてしまったのだぁ〜〜〜(T_T)。
寝かされている私は天井を見る事になる。先生達とは小さな囲いで仕切られているので、先生達の頭がたまに見えるか見えないか…という感じだが、天井にある、あの、手術特有の、大きな照明器具に写る映像を見てビックリした〜〜(☆o☆)。
ピカピカに磨き込まれた照明器具は、まるで鏡のよう……。鏡のよう!!……って、分かりますね、もう…。そうです、照明器具に反射して、私は寝ながら、自分の下腹部が切られている所を見てしまったのです〜〜、きゃ〜〜〜!!(☆o☆)
しかし、幸いにも私は近眼。眼鏡ナシだったので、写る映像は、ぼやけていて、血の海の中に、先生と補助してくれるもう一人の先生の、4本の腕がいったり来たり…というのしか見えなかったんだけど、視力のいい人だったなら、全てを見てしまっただろう!! そしてパニックになっていたかも?(^.^;
先生が「アキ、知ってる?もう始めているのよ!」と言うので「先生、そんなこと、知ってますよ! だって電気に反射して全てお見通しですよ!! 申し訳ないけど、少しだけでも位置を変えること出来ませんか?」と聞くと、先生は「アキ、じゃ、目、つぶっていなさい。」と一言(^.^;。術台の上で、気楽に目をつぶっていられるか〜? 妙に気になってやっぱり見てしまうじゃないか〜!と心で叫び、「あー、近眼で良かったわいな!」と心から思いました(^.^;。
そんなこんなしてる間にも、麻酔医:フランコ先生は、私の側にやってきて「気持ち悪くない〜?」「大丈夫ですか〜?」と聞きにやって来る。そして蒙古斑の事も手術中の話題になった。
私が麻酔をかけられる前に、先生達に「日本では、生まれる時に出来てる青い痣があるのですが、黄色人種特有らしい。こちらであるのか分からないんだけど…」と言うと、麻酔医:フランコ先生が「それはマッキア・モンゴーリカだね!!」と。「おう、それです、それ!」と私は応対して、その時、はじめて蒙古斑のイタリア語を知った(笑)。
それからフランコ先生は、術中、別室で待機していた小児科の先生(早産扱いのお産だったので小児科医師の付き添いが義務だった)に蒙古斑のイタリア事情を聞きに行き、術中の私に「シニョーラ・アキ、少ない割合ですが、なんとイタリア人の赤ちゃんにも蒙古斑は出てくるそうです!」と報告をしてくれた。その話に術真っ最中の私の担当:ピアッティ先生も「えー? そうなの??」と反応し、「アキ、その話をインターネットですぐ載せるんでしょ?」と(^.^;。そこで麻酔医フランコ先生と、術アシストの先生が「え?インターネット?」と聞くとピアッティ先生が「アキは日本に向けてのサイトを持っていて、そこで、妊娠からの手記も書いているのよ〜! だからこのお産のことも日本に伝わるわけ。それに蒙古斑の話もね〜!」と説明。そんなお喋りが続いて、私は天井に写る生々しい映像の事も、自分が正に帝王切開中であるということも少しは忘れていた(^.^;。
そんなお喋りが続く中、術してる先生2人の言葉が止まる瞬間があった。そして、それまで、な〜〜〜んにも感じていなかった私も、下腹に感覚が……。それは決して痛みではなく、何かを引っ張られている感じ。それもかなり強烈に引っ張られている感覚。麻酔で感覚がなくなっている私には、それは『なんかお腹が重くつれる〜』という感覚でしかなかったけど、『ああ、ついにその時が!』というのは簡単に想像出来た。
そして、その『重い感覚』が数秒続いた後に、すぐ、産声が聞こえた。「おぎゃー!おぎゃー!!」と、とっても元気で勢いのある声だった。それを聞いて、私はまだ我が子の姿を見ぬまま「パスクアリーノ?!」と叫んでいた。そしてすぐに先生が仕切を越えて来て、Pasquale豊を見せてくれた。私はまだ胎脂のついたままのPasquale豊の腕を触る。我が子はすぐにもっていかれてしまったけど、私の指には、胎脂がかなり残っていて、それをじっと見つめていた……。
先生達も言っていたけれど、我が子の生まれる所を見られる半身麻酔にして、本当に良かったと思う。これがもし、眠ったまま生まれてきて、起きた時にはベッドの横に居た…というのなら、感動は半減だったかも。もちろん、一番いいのは自然に経膣分娩をすることだけど、それが出来なかった私は、せめてもの『お産への参加』が出来る半身麻酔で良かったと。
お腹を痛めて生むからこそ我が子は可愛いというが、帝王切開で何も痛みはなくとも、やっぱり産声を聞いた時は、最高に感動した。自然と涙がボロボロ流れてきた。その涙を、麻酔医:フランコ先生が「おめでとう、マンマ。」と、優しく拭ってくれた。29/10/01