さて、8月2日。私は、予定帝王切開の為に早起きをした。誰に言われた訳でもなく、ただ単に自分で早起きをしたかった。その時は、まだナポリ女性と同室。午前中の内に、同階の個室に移り、そこで待機して、午後から帝王切開という予定。
ナポリ入院生活に、最終的には文句ない私だったが、でもでも、いくつか、病院勤務者側に問題を見つけた。ホントに最後の最後まで、うげげ…と思う点がいくつもあった。お金を払う私立病院:クリーニカでもこういう事があるのだから、保険内で済ませるオスペダーレは悲惨であるというのが想像出来る。聞いてはいたが、身をもって実感……。でもでも、その話はまた今度にするとして、ここでは、帝王切開のドキュメントを赤裸々にお伝えしよう(^O^)。
手術は午後ということで、私の旦那、姑、義姉は、揃ってお昼過ぎにやって来た。そして、私は、点滴をしながら、姑&義姉の付き添いもあって、シャワーをして、「いつ来てもOKっすよ〜」みたいな体制にもっていく。
「だいたい、この時間に…」と言われても、ナポリでは無意味(笑)。「約束の時間相当過ぎたのに、何も連絡ないよ〜!」ってな感じで、私はお喋りしながら過ごしていて、そんな後にいきなり、見知らぬ看護婦さん達が「お連れ致します」とやって来た。
「え?今ですか???」と、言う間もなく、彼女たちは私を担架に乗せ、エレベーターで、術室の階まで運んだ。旦那や姑、義姉に『頑張ってくるね!』の一言も言えないままだった……(T_T)。気付いたらエレベーターに乗っていて、そして、手術室がたくさんある階(患者のみ行ける階)で降りて、数件の手術してる最中を担架に寝ながら見てしまった…。暑い時期だったからかもしれないけど、各手術室のドアは閉まっていなくて、私は寝ながら、いろんな場面を見ることに。
そんな時に、「では、ここで待っててくださいね!」と、看護婦さんが言って、それで私の前から去ってしまった。術室がたくさんある階の、廊下に、一人、担架に寝かされて待つ私。四方から色んな声が聞こえてくる……。10分は経過しただろうか、「私は一体どうすればいいのか??」と思っていると、先生がやって来た。
姑は、術後の回復が早い全身麻酔を望んでいたが、私の担当の先生は、私を半身麻酔でいくことを最初から決めていた。私はどっちでも良かったのだけれど、入院中に、全身なら比較的早く起きられるけど、半身麻酔なら2日は寝ていないといけない…と聞いて、「それなら何も無理しないで、姑も希望してるんだし、全身麻酔の方がいいかも……」と思った。
そんなことを、術階の通路に、担架で寝かされたまま、思っていると、先生がやって来て「アキ。以前から言っていたように半身麻酔でいきますよ。アナタはブラヴァーですから、半身でいいの。」と。出来ることなら先生に『全身で…』と頼みたかった私は、半身麻酔をここまで断言されて、一瞬は躊躇したけど、先生に「胎児に良い方法はどちらですか?」と聞いたら、先生は「半身です。」と答えたので、私は「ならば、全てをお任せします」と、答えていた。
それを聞いて、先生は確証するように準備の為に別の部屋に入って行って、それからほどなく、麻酔医の先生がやってきた。
その麻酔医の先生は、いわゆる、典型的なイタリア人というか、なんというか(^.^;。その時、始めて会ったのだが、私は担架に寝ている状態でありながら、彼は、歌いながら、どこからともなくやって来る(笑)。して、「お〜、シニョーラ・アキ。半身麻酔を決めて良かったですよ! これでアナタはお産に参加をするのですぅ〜♪ なんと素晴らしいことでしょう!! 生まれてくるベビーを見るのですよ! そしてね、何か、もし、気分の悪い時には、私に言ってください。私が麻酔の担当をしますが、麻酔だけではなく、精神的に、心と言葉で、アナタを安らせるように、努力しますからね!」と(^.^;。
その麻酔医の言葉は、マジに歌のようだった〜(^.^;。一人、通路で担架に寝かされて待っていた中で、そんな麻酔医先生の、言葉攻撃で、心安らいだ私。そしてその麻酔医が「安心して。無事に、すぐ済みますよ!」と私の手を握りながら言って、また準備のために去っていった。
そして、再び通路で待機していたけど、皆が揃ったということで、術室に運ばれていった。担架に乗ってた私は、看護婦&助産婦数名の方の協力を得て、術台に移動。術台の幅があまりに狭かったので「なんだか落ちてしまいそう…」と言うと、皆が爆笑した(^.^;。でもでも私より太った人がたくさんいるナポリ。皆はこの狭い術台で大丈夫なのか?と人事ながら思った(笑)。
それから一旦起きあがって麻酔を。横に寝ながら麻酔するということもあるようだが、私の場合は、座位で、後ろの骨に一発(笑)。私が痛さに声もあげなかったので、麻酔医のフランコ先生は「素晴らしい!」と感動していた(^.^;。そして横になり、知らない内に左腕には点滴が、そして下半身が重たくなって、全く自由がきかなくなってきた感じに。もー自分では動けないのだから、狭い術台でも落下の心配ありません!(笑)
そして看護婦さんが私の右腕まで固定しようとしたので「え? 右腕も動かせないのですか?」と聞くと、先生が「アキはきっとパニック起こさないから平気でしょうね。外してあげて。」と看護婦さんに言ってくれた。
麻酔はどうする?の時から『パニックを起こす人』というのをよく聞いていたが、確かに気性の激しいナポリ人には、感動や緊張や不安が一体になって、帝王切開時にもパニクる人は日本人なんかに比べたら多いかもしれない。友人のアンナマリーアもそうだった。看護婦さんで毎日手術なんて見慣れてる彼女も、いざ自分のことになるとパニクるタイプらしく、全身麻酔での帝王切開をした。そして中には、半身麻酔で、上半身は感覚あるけど、両腕を固定して『動けない』状態にしないとヤバイ人もいるのでしょうね。
でも私は右腕が自由に。して内心思っていたことは「くそう…デジカメ持ってくりゃ良かった!」という事(^.^;。バースフォトとか撮る人いるけど、私の場合は弱夫なので、旦那が手術室に入る事なんて不可能だから、最初から期待してなかったけど、右腕が自由なら、自分で撮りたい!とマジに思ったよ〜(^.^;。しかし、何もそこまでして写真に拘る必要はないよね。感動の瞬間は心のシャッターに刻め!という事で、心の準備を、完全に効いてきた麻酔と共に始めました。29/10/01