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 心優しいナポリ少女:マリカ

 仲良くなったアンドレイーナと別室にならざるを得なくなった私。「さて、今度はどんな人と同室になるのやら?」と、一人、新しい病室のドアをノックしました。今度も妊婦さんでしたが、すでに出産済み。前日に女の子を産んだ女性との部屋でした。

 して、今度の妊婦さんは見るからにナポリって感じの女性。いや、アンドレイーナとかもそうなんだけど、今度の女性はナポリはナポリでも庶民系気質がかなり強い感じの女性でした(^.^;。話し方は粗野。標準イタリア語を話さないでナポリ語のみ。2人目の出産だったが「わたしゃ、どっちの時もタバコ吸ってたよ〜。やめるなんて考えなかった〜。」ってなタイプっす。

 でも感じはとっても良くて、彼女の家族も皆、存分に陽気でした。それに彼女自身も、さばさばしてる性格だけど、私のことは結構気にかけてくれ、そっとする時は放っておいてくれる。お喋りする時は存分に…ってな感じで、とってもいい感じで同室生活が出来たのです。

 しかし、根っから粗野な彼女は、育児に関しても粗野な所が。2人目の余裕?もあるんだろうけど、子供見ても「母乳か〜。面倒くせーよ。」ってな感じだったし(笑)、産院が用意したミルクが熱かった時などは、長女に「ちょっとアンタ。これに水入れて来な!」と命令するし。『ミルクにカルキたっぷりの超硬質水道水を入れてしまっていいのか〜??』と、私は内心ひぇ〜〜〜〜と思いましたが、ま、神経質にならなくても子供は育つ…という見本を目の前に見たような気がしました(^.^;。

 彼女はそんな感じで、陽気なご主人との対比が面白く(完全に夫は尻にしかれていた:笑)お母さんお父さん、義姉さんなどなど、笑わせる人達が多く、病室はいい雰囲気で人がいっぱいでした。でも、私がこの家族の中で一番気に入ったのが、長女のマリカちゃんでした。

 マリカちゃんは10歳。そう、同室の彼女はなんと10年ぶりの出産だったのですが、長女のマリカちゃんは、ようやく自分に妹が出来るということで、妊娠を知った時から大喜びだったそう。そして実際に妹が誕生してからは半日はずっと病院にいました。新生児が病室に降りてくるのは一日5回ですが、その時間の15分前にはエレベータの前に待機して、妹が来るのを今か今かと待つのが彼女の日課に。そしてやって来たらず〜〜〜っと妹を見つめ、出来る限りのお手伝いをしていました。

 でも、マリカちゃんは妹にだけでなく、マンマにもとっても優しかったのです。粗野なマンマ(笑)は、マリカちゃんによく用事を言いつけるのだけれど、それをテキパキとこなし、マンマにマッサージをしてあげたり。それにお見舞いにやってくる人達への応対もマリカちゃんがテキパキとこなしていました。

 そんな優しくて、お世話好きなマリカちゃんは、もちろん私にも話しかけてきました。胎児の心音を計る装置をつけていて、なかなか胎児が動かなくて助産婦さんと四苦八苦してる後にマリカちゃんが近くに寄ってきて「ねぇ、心配? でも大丈夫だよ。赤ちゃん、きっとお腹の中で元気だよ。」と慰めてくれました。

 そして、夜の何気ないお喋りタイムの時、同室の彼女に私は「いや〜、マリカちゃん、めっちゃ優しいね。とっても愛情ある子だよ!」と言うと、粗野なマンマ(笑)は「そうなのよー。なんかね、あの子は人の気持ち分かるみたいなのさ。なんでも優しくするけどね、特に誰かが何か心配してる姿ってのが、あの子にはすぐ分かるのよ。だからさ、ほら、今日アンタにも話しかけていただろ? アンタの心配が分かったんだよ。だからマリカなりにアンタを元気づけてあげたかったみたい。いっつもこういう風に人と接してるんだよ。一体誰に似たかわかんないけどね。」と。

 この年代の子供達をもう何百人と見てきた私だけど、やっぱりマリカちゃんは特別という位、その優しさは特記すべきものがありました。ホントに、何かにつけて非常に優しい。そして配慮が。でも、一目では粗野に見えるマンマ(笑)も、実は私とマリカちゃんの小さな会話をシッカリ聞いていたわけだし、粗野でありながら、実は、私に対する気遣いはすっごくしてくれたし、マリカちゃんはママ似なのかも…と思った私でした(^O^)。

 そんなマリカちゃんが、私が同室になった時にすぐ、この写真をくれました。妹が生まれた時にパパが撮って、それを翌日現像し、病室に持ってきて、皆でワイワイと写真を見ていると、マリカちゃんが「これはアキにあげよう!」と。「ねぇ、ママ、この妹の写真、アキにあげていい?」と聞いてから、私にくれた写真。「はい、これ。記念に持っていてね! そうそう、もちろんアキの赤ちゃんも産まれたら写真ちょーだいね!」と言いながら。

 でも残念ながら、私はマリカちゃんにPasquale豊の写真をその後渡すことは出来なかったけど、でもでも。この写真は大切に持っていようと思ってます。両親の影響をたっぷり受けて、ナポリ語で私に毎日話しかけてきたマリカを思い出すためにも(^O^)。16/10/01