ミラノ発ナポリ行きインターシティー。7時間の旅。同じコンパートメントにいる人達と軽く挨拶を交わす。でも皆個人で、本を読んだりして大人しい。でもその静寂を破ったのが、途中のボローニャから乗って来たナポリ中年女性2人組でした。
年の頃は40代中半。でも独身のよう。私と同じコンパートメントに席を確保はしたが、ウロウロして近くにいる誰とでもお喋りを開始。私は「わー。車中での騒ぎがまた始まったか!」と思いながら、一人、日本の友人に手紙を書いていました。その車両には、私がたった一人の外国人とあって、彼女らは始めは声をかけて来なかったのですが、お喋りもたけなわになった頃、その一人が「ねぇ、アナタ、イタリア語わかるの?」と話しかけて来ました。
「もちろんですよ!」と答えると、もうそこからがたいへん(笑)。他のコンパートメントからも人が大勢集まって来て、私はそんな彼等を前に「イタリアが好きでミラノにやって来たけど、どうしてもナポリが気にかかり、今行こうとしている所なのだ。」と語る羽目に(笑)。
「そんなぁ〜!ミラノも良い所じゃないかぁ〜!」と言うミラノ人をよそに、ナポリ女性達は「ちっとも良くないよ!こうやって外国人だってナポリに惹かれるんだから、やっぱりナポリが一番よぉ!」と笑い、それに口を挟むローマ人は「で、ローマはどう思うの??イタリアの首都だよぉ?なのに、どうしてキミは興味ないのぉ??」と嘆く有り様(笑)。
でも皆、ただ会話を楽しんでいるだけなので、喧嘩にはなったりしません(笑)。軽いジョークのやり合い。皆大騒ぎ&お喋り大会になり、楽しく時は過ぎて行きました。そして、殆どの乗客が降りるローマでは、皆が「あー!本当に楽しかった!また、いつかどこかで!そうそう、シニョリーナ・アキ、ナポリでの幸運を祈るよ!!」と、去って行きました。
そしてローマからナポリの2時間、私はナポリ中年女性2名との、サシでの会話になったのです(笑)。その時は真面目に私の思いを話し、彼女達も真剣に聞き入ってくれました。その内の一人、ロサリアさんは「ねぇ、アキ!(←この時点ですでにファーストネームで呼び合う仲に)ナポリには知り合いいるの? え?電車で会ったカップルの所なんかに行くの??」と。私は「でも、今まで電車で知り合った人達と友達になって、色々回ってるから今度も平気だと思うんだけど…。」「そうかぁ。よし!わかった。駅に迎えに来てくれるんでしょ? じゃあ私がどんな相手か見てあげるわ!!怪しそうならウチに来なさいね!!」と言ってくれました。
(そんな事言っても、アナタとも数時間前に、この電車で会ったばっかりで、ミラノでの再会を果たしたカップルより面識はないのに、どうしてここまで言うのぉ?)とは感じましたが(笑)、彼女は見るからに『典型的なナポリ女』。おちゃらけているだけではなく、情に厚いタイプ。私は「はい、そうしてくれたら本当に有り難い!!」と答えていました。
そしてナポリ中央駅に到着。駅の少し前からイタリア特有の青い駅名看板が見える。そこには『Napoli
Centrale』とある。「ああ。私、ホントに来た。日本に居る時から気になっていたナポリに。」としみじみその看板を見ながら感慨に耽っていると、ロサリアが「ほら!アキ!!着いたわよ!降りなきゃ!」とせかす(笑)。
そしてホームで私を迎えていたのは、電車で知り合い、ミラノでも会ったカップルの笑顔。「ようこそ、ナポリへ!」とイタリア式のキスの挨拶を受け、私は彼等にロサリアを紹介する。「ロサリアさん、私が一人でナポリに来たもんだから心配してくれて…。」と。そして彼等が二言三言話し、ロサリアもお迎えに来た彼女のパートナーに会う。それじゃここでお別れ…という段になって、彼女は私を抱きしめ、小声で「アキ。大丈夫。アナタはきっとステキなナポリ滞在が出来るよ。あの人達なら、大丈夫。いい人達に出会ったね。顔見ればたいていは分かるのよ! 私も電話するからさ!また、絶対に会おうね!!」と、終いには私の背中をぽーんと叩いて豪快な笑顔と共に彼女は去っていきました(笑)。(つづく)