ビッチリ教会通い…の前に、私は年に一回帰っていた東京でも、キリスト教に関する勉強を始めていました。イタリア語で学んでいくより先ずは母国語の日本語から入っていった方が分かりやすいと思ったからです。
私の母の知人がカトリック信者さんでしたので、そのお婆さまに私は近所にあった教会に紹介していただき、ローマ人神父様と週に2回、お勉強をする事になりました。日本語のカトリック要理を読みながら一対一の勉強です。でも神父様はローマ人ですので、色々な用語をイタリア語でも教えてくださいました。その他にも私は分かりやすい子供向けの(笑)聖書物語を読み出したり、もちろんちゃんとした聖書も日本語版で求め、他にも様々な本を神父様やそのお婆さまから頂いて、先ずは日本語で、キリスト教の教えを理解していきました。
そしてナポリでもついにお勉強開始。私に最初から最後までお教えくださったのは、ドン・ミケーレという神父様でした。なかなか活発な神父様で、高校の教師まで兼業なさっています。旦那の実家のすぐ目の前にある教会の神父様で、旦那もこの神父様から洗礼を受けただけでなく、高校の授業まで(笑)。しかも私がナポリ市外に2回目に借りた家の大家さんも、この神父様でした(^.^;。教えの時は厳しいけど、普段はとっても気さくで、やっぱりナポリ人ですから女性好き(笑)。そんな事を隠さない本当に気さくな神父様です。
でも私の洗礼に対する準備は、本人の私以上にジックリなさってくれました。外国人の改宗に関わるのは、もちろん始めての事でしたが、始めてのお勉強の時には、しっかりと、異宗教からのキリスト教の教え本を用意してくださり、週に一回私はドン・ミケーレとのお勉強開始! その開始は結婚の一年前でした。「イタリア語での話は分かるだろうか?」と不安でしたが、教えも祈りの言葉も、いわゆる口語調。未だに文語調が好まれる日本と違って、もっと理解しやすかったです。東京の、ローマ人神父様が「アキは逆にイタリア語から学んでいった方がもっと分かりやすいかも…」とおっしゃっていたのが、思い出されました。
そして週一回、他には日曜のミサに…の週2回の教会通いが始まり、ドン・ミケーレとの勉強会は、難しい事抜きで、私もわからない事はジャンジャンと質問していきました。「このまま続けていけばその内洗礼??」と、思いきや、やはりそうではなかった(^.^;。他に3つのコースを受けるようになっていきました。
異宗教徒の外国人がキリスト教の人間と婚姻を決め、時間と教えの場所がない場合は、簡単なレクチャー?でも受けて即改宗…という事もあるらしいですが、私はすでに何年も前からここに居ましたし、教えを受ける機会も時間もたっぷりありました。教会だってたった徒歩3分の所でしたし(^.^;。ですので先ずは一年前からみっとりとキリスト教のいろはから教えていただいたのですが、婚姻になるまでには、他の3つの秘跡を済ませていなければなりませんでした。
先ず洗礼。これはキリスト教徒になる印ですね。そして次は聖体。これはミサなどでキリストの体(パン)と血(葡萄酒)を受けられるようになる為の秘跡。そして堅信です。これは読んで字の如く、堅い信仰を示す物で、洗礼の時のように清い水を用いられるのではなく、聖香油をもって行われます。
イタリアでは一般的に洗礼は生まれてすぐ、初聖体は10歳前後、堅信は10代後半になされるようです。他の国、例えばドイツなどでは、親も子供に宗教上の無理強いをさせず、生まれてすぐに洗礼などしないで、ある程度自分で判断出来るようになる10代後半に、本人が望めば一挙にこの3つの秘跡を行わせる事もある…らしいですが、イタリア、特にナポリは宗教に関して信心が強い人ばかりです。ですので、自分の子供には生まれてすぐに洗礼をさせ…のような感じになっています。
ここで私は疑問がありました。疑問があったらすぐに質問する!スタンスの私は(笑)、自分の意見を述べてみました「でも…確かにドイツなんかの人達の考え方も一利あるかも。だって、まったく生まれたばかりで訳分からない赤ちゃんの時に親が決めて洗礼を受けさせるより、子供が、自分で望んで宗教を決めていった方がいいのでは??」と。それに答えてくれたのは、小学校で宗教の先生、また教会でも様々なコースを子供達に教えているカテリーナさんでした。
「アキ、確かにそうね。親のエゴなんてあってはいけないわよね。でもね、自分が良いと思って、信じてる物なら、やっぱり自分の子供にも少しでも早くそれを知って貰いたい…って気持ちがあると思うわ。どう考えたって悪い事じゃない。とっても良い事なんだから、生まれてすぐの分別のつかない赤ちゃんにでも、自分の子供だし、良い事を授けてやりたい…って気持ちがあるのよ。」と言われました。
そう言われて私も自分自身の疑問がすっかり解けました。そりゃそうだと。カテリーナさんは以後、躾に対するお話もしてくれましたが、やっぱ親は、子供に良い事を教えて授けてあげたい…って気持ちでいっぱい。親子の間でも『個人』を重要視する関係もそれはそれで愛かもしれないけど、自分が良いと思っていて、子供にも少しでも早くそれを感じて欲しい…という気持ちの方が共感を持てました。そして、このようにホントに少しの疑問も色々聞いていく内にドンドンと理解&共感出来るようになっていきました。
でも私自身は、外国人の異宗教徒でした。だから有無を言わさず、洗礼、聖体、堅信…の3つの秘跡を一同に受ける事に。そしてその後に控える秘跡は婚姻です。ですので、改宗の為にドン・ミケーレとのサシの勉強会の他に、初聖体を受ける前の10歳前後の子供達、堅信を受ける為の10代後半や20代前半の子達と、そして婚姻を控えカップルで参加する教えの、他の3つのお勉強会に一挙に参加しなければなりませんでした。
各コースは週に一回、半年続きます。私は一挙にそれらのコースを受けたので、週に一回はドン・ミケーレとのサシ、他は聖体の子供達と、他は堅信のヤング達、そして婚姻の同年代の人達と…そして日曜のミサ…と、マジに週5回、きっちりと教会に通っていました。ミラノの友人などは「げげげ!!マジ、アキ、そんな事してるの?面倒じゃない??」と素直に聞いて来ましたが(^.^;、私は殆ど毎日、違う年代の沢山の人達と会えて楽しかった。宗教の教えの時間…と考えると行く前から面食らってしまうけど(笑)、皆で集まっていろんな思いや考えを語り合う場と思えば、退屈でも何でもなく、本当に楽しかったです。
…って言っても子供達のコースでは遊ぶだけだったけど(^.^;、当時はもうずっと年下の堅信クラスのヤング達が、自分で進んでいろんな事を言うのを聞いているだけでも楽しかったし、私もそんな彼等の意見に賛同したり、違う意見を言ってみたり、白熱もあれど楽しい論議が続きました。婚姻のクラスでは、特に愛の教えが多かったし、同世代だから共通の話題もたくさん!! 話も存分にはずみ、それぞれのカップル毎で皆、仲良くなっていきました。
そうこうしている内に、ついに私の洗礼の日が近づいて来ました!! 洗礼だけではなく、聖体も堅信も一緒の儀式ですが、私がお世話になった神父様:ドン・ミケーレが、またまた色々と調べてくれて『本来、異教徒の洗礼は、司教しか出来ない』という事も知りました。聖職者にもランク?があり、ドン・ミケーレは司祭です。司祭は多くいますが、司教はそんなに多くはありません。ちなみに堅信の儀式も本来なら司教しか授けられないのですが、非常に少ない司教に対し、儀式を受ける若者は多くいる…。ですので、司祭もその儀式を授ける事も可能になっています。
これを聞いて私は言いました。「ドン・ミケーレ! ならば私の時も特例出してくださいよ!! お世話になったアナタから受けたいのに、知らない司教様からなんてイヤですよー。どうにかドン・ミケーレの手で私に3つの秘跡を与えてくださるように出来ませんか??」と、申し立てました。でもドン・ミケーレは首を横に振りました。「堅信の時は本当に仕方なく…って時もある。信者の数に比べて司教の数が少なすぎるからね。だから特例で司祭の僕たちも授ける事もあるけれど、アキの場合はもっと重要だ。異教徒の洗礼から始まるのだから、僕には出来ない。キッチリとその資格がある司教に頼んでみようと思っているから、アキは安心していなさい。」とおっしゃって下さいました。
そして、ナポリのあるカンパーニャ州でたった2人しかいない司教の内の一人のヴェスコボ・ロレンツォに「ここに日本からやって来て改宗をしたいという女性がおります。彼女は自分が日本で仏教か神道かも分からずにいた程ですのに、イタリアにやって来て、宗教の意味を深く知ったと言って、今回、どこまでも深く、私達の道に入る事を望んでおります。私が調べた所、異教徒の洗礼は、司教しか出来ないと。お忙しいとは思いますが、この外国からやって来た少女に、貴方から是非、洗礼、そして聖体、堅信の3つの秘跡を授けてやってくださいませんでしょうか? 私からも深くお願い致します。」と、お願いの手紙を書いてくださいました。
そしてすぐ、そのロレンツォ司教様から返事。もちろんOKとの事。そして儀式の日も決まりました。当日まで一ヶ月はありましたが、なんだか用意がいっぱい!! あわだたしく過ぎていく日が続いていきました。27/07/00