私の彼の代理店に災難が遭ったけれど、でもどうにか収まって、さぁ気を取り直して心機一転で始めよう!としていた時、またしてもトラブルが起きました。それは、彼の代理店の本部、そう、私が勤めていた観光事務所&旅行代理店とのトラブルです。
問題があったスペインの旅行会社以外、代理店の儲けは、本社である私の元職場へと数%のコミッションが行きました。元々支店という形で始めたので当然の事です。しかし、一番の実績を上げていなくてはならないハズの本部の売り上げは一向に伸びない。私の彼が各旅行会社に回る時、その会社の人達から「君達は使われているんじゃないの? だってご覧よ。君達は10とすれば、本部は1程度の申し込みしかないんだから。」と忠告し始めてくれるようになりました。
そんな忠告が各社からなされ、私の彼は本部へと直談判をしに。そして本部の帳簿?も調べる事に。そこで発覚したのは、本当に本部の収入は少ないという事の他に、社長が「ここの旅行会社は00%のコミッションだから、君達には00%となる」と(ここでは数字は実際には出しませんが)と、言っていたのがウソで、本当は旅行会社からのパーセンテージはもっと多く、私の彼に与える?稼ぎを少なくしていた…という事まで分かりました。
すでにスペイン系猫ばば事件があったので(笑)、そんなに衝撃を受けませんでしたが、社長は、旅行業も知らない小僧だから、まぁ始めの内は多少の儲けはこっちが貰うぜ…と思っていた様子。でも半年で『本店1、支店10』という実績の違いが。本店はあまり働かずにも支店が稼ぐのだからのほほんと…。しかも何もしないのにコミッションは余計に取っていたと…。
「コレって何なんですか?一体!! どーにか説明してくださいよ!!」と、私の彼が社長に詰め寄ると、「そうは言うけど、オマエ、一体誰のお陰で店を出したんだ? ウチの支店って事で出したんだろ? 何も知らなかったオマエがよく言うよ!」と。でも彼は「確かに店を出す前に数回アドバイスを聞いたのは、本当に役立ってますし、旅行会社にも紹介していただき、感謝はしてます。でも開店費用は全て僕持ちです。アナタ達は名前を貸してくれただけです。それにアナタ達は、僕が店を開いてから、オープン記念日のパーティーにやって来ただけではないですか!! それからは僕たちだけで進めて来ましたよ!! 本部なら、たまには顔を出すべきではないですか? それなのにこの半年間一度も来ないで、僕たちが一生懸命頑張って、顧客を掴んで、その儲けを、何もしないで、観光客の女の尻ばかり見て過ごしているアナタ達に持って行って欲しくはないですよ!!!」と爆発してしまいました。
そこで社長も「お、そこまでいったな、貴様(←呼び方が変わった(^.^;)。だったらもういいぞ、貴様達だけでやってみな!!!」と啖呵を。彼は「望む所です!!」と。そして私はもうオロオロするばかり…。
私は本当に複雑な気持ちでした。本部の稼ぎがそんなにない事は、自分が働いていた時から分かっていましたが、彼にコミッションの事で社長はウソを言っていた。まぁナポリではよくある話かもしれません。全てをキッチリ確認しないと、幾ら旧友でも騙されてしまう事はよくあります。それに社長の気持ちも分かります。開店費用は彼持ちだったにせよ、店の名前を借り、支店として始めたのだから。それにコミッションの金額はそんなに大金ではなく『スペイン系猫ばば』に比べたらカワイイもんです(笑)。
でもお世話になった社長&副社長と自分の彼が決別 に…。社長&副社長は「アキ、あいつは真面目だけどな、狡いぞ。きっと最初から俺達を利用するつもりだったんだ。俺達の店の名前を借りておいて、独立出来る状態になったらこんな騒ぎを起こして去って行く。義理も人情のないヤツだ。」と。自分達もキッチリとコミッションの事をしてなかったのに「よく言うよ…」とは思いましたが(笑)、彼等の気持ちも分からないでもありません。
そして私の彼は怒りの頂点に達し「アキ、奴らは詐欺師だ。俺から余分なコミッションまでふんだくって、しかも自分達は何も努力してない。奴らに会ってもこれから一切挨拶などするなよ!!」と。もちろん彼の言い分も正しい。自分は頑張ってるのに向こうは何もしないで、彼の稼ぎを持っていくのだから…。冷静に考えれば、彼の方が正しい?と思うのですが、当時の私は、お世話になった社長&副社長に挨拶も出来ないようになってしまった状態に、ただただ悲しくて仕方なかったです。彼等は確かに商売上いい加減な所はありましたが、私には色々手を尽くして助けてくれたのですから……。でも私は駅前で副社長に会うと、こっそり話はしていました。でももう家庭にお呼ばれされる事もなく、仲良くなった奥さんや子供達と会えないのが残念でした。
そして彼は本格的に自立。共同経営者のロレンツァと自分達の代理店を努力して、進めていきました。開店から6年たったでしょうか。開店当時の半年間に『3つの決別
』があり、たいへんなスタートでしたが、以後も本当に色々…。直で付き合うようになった各旅行会社とのトラブルも絶えませんでした。日本では信じられない事ですが、支払請求を間違える会社ばかりなのです。コンピュータで管理されてるのに、打ち込む人間がいい加減だとやはり間違えも起こります(笑)。それに面
白い事には、請求を低くする所は一切なく、多めにする所ばかり(^.^;。
会計士彼は、全ての旅行予約が頭にインプットされていますから、各会社に「今月のコレ、ウチの予約じゃないですよ。それに先月のアレも料金が多いですよ。直してください。」と電話。担当者は「あらヤダ、私間違えちゃったのかしら、ゴメンなさいね♪」と謝る程度(笑)。そういういい加減な会社は、やはり?南や中央イタリアに本社がある所が多く、飽き飽きした彼はミラノに本社のある会社と取引を始めるようになりましたが、それらも数ヶ月後にボロ?が出て、ついにはイタリアの北も北、ヴァッレダオスタという所に本社のある会社と主に取引を始める事に。
「なんたって彼等は殆どドイツ人かスイス人的感覚だからいいよ!!間違いなんて一切ないし!」とご満悦。そしてここ数年はスイスに本社があり、イタリアの各支店にもスイス人のボスがいてキッチリ管理している会社と主に取引を始め、もっとご満悦しています(笑)。
…と、まぁここにも書いてないトラブルも山のようにありましたが、ナポリ人らしからぬ 真面目な私の彼=今の亭主の代理店は、彼の会計士魂も発揮し(笑)、開店3-4年目で、大手の旅行会社から表彰されるようになり、ナポリのあるカンパーニャ州で全ての旅行代理店の中からベスト10に入る売り上げを残した事もありました。そして従業員も雇い、小さなトラブルはまだまだあるけれど、今では本当に安泰。
「何か自分で商売がしたかった。そしてそれが大好きな旅行の事ならより一層。この仕事が大好きなのだから、絶対にうまくいく。」と言っていた彼は、いい加減な人間の多いナポリで、自力で自分の代理店を守り、なんとか人並みのお店に仕上げた。私なら、いい加減な対応に辟易して投げ出してしまっただろうに、それに他のナポリ人でも『面
倒くさい』と辞めてしまったかもしれないけど、自分の夢を達成した彼に、偉いなぁ…と思うのでした(^.^;。
追記:私が働いていた観光事務所&旅行代理店のその後。旅行代理店業務は全くうまく行かず、廃止。始めは社長が「やろう! 皆で大きくしてビッグなビジネスをしよう!!」と言っていたけど、社長はその為の努力もあまりせず、開店当時にいたスタッフもそんな社長の虚言にようやく気づき出し、一人去り、二人去り…。そして最後には副社長も社長の元を離れて行きました。副社長も社長の虚言には耐えられなくなって結局自分で小さな代理店を作る事になったのです。
「アキ、あの時、オマエの旦那の事、悪く言ってゴメンな。俺、まだ社長の側にいて気付かなかったんだよ。長年の友人だったけど、友人と仕事仲間は別
だ。いや、マジにヤツは『言うだけ』の人間だ。」と、言っていました。そして私の旦那とも、ある旅行業界のイベントで再会。「すまんな、あの時は。オマエ、相当頑張ってるらしいじゃないか。俺も負けずにやるよ。そうそう、もう俺はヤツとは切れてるから、これからも付き合いよろしくな。アキと一緒にいつでも遊びに来いよ!」という事に。
そして社長は、観光事務所だけ残された中央駅で、たった一人になりながら、細々と営業を続け、懲りずに市外に代理店を出しましたが、それも半年で閉店。『言うだけ』男の、哀れな?結末…。でも彼がそれでシアワセならいいんだけどね(^.^;。それに私は、ナポリに来て、彼によって始めての仕事を与えられ、客商売が向かなければ事務職に変えてくれたその優しさと人情深さを知っているので、絶対に彼を悪く言う事はしたくはないし、今でもとっても感謝しています。03/07/00